ブンゴウメール公式ブログ

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2020-08-04

科学の不思議(4/30)

(830字。目安の読了時間:2分)  何を調べてゐるのでせう? それは誰れにも分りません。 しかし叔父さんのさういふ時の顔は、丁度神様の不思議な秘密を見出して、それと面と向き合つたやうに、気高い歓びに輝いて来るとみんなは云つてゐます。 私達が本当に感心して聞くあの叔父さんの話は、さういふ時に出来るのです。 私達はその話には本当に感心します。 そして其の上に、何時かはきつと私達の役に立つ...

2020-08-03

科学の不思議(3/30)

(819字。目安の読了時間:2分) そして又、沢山のお父さんや、お母さんや、叔父さんや、叔母さんや、姉さんや、兄さん達が、此の本で、小さい人達の目にうつるいろんな謎を、どういふ風に片づけてやるべきものか、と云ふ事、またその事柄をも併せて学んで下されば大変しあはせです。  なを、此の本は、少し前に、他の人の手で訳されて出てゐますが、それは、抄訳で、しかもポオル叔父さんの一番お得意な、全巻の三分...

2020-08-02

科学の不思議(2/30)

(943字。目安の読了時間:2分) 』  と叔父さんは此の本の最後でお約束をしてゐます。 叔父さんはその約束どほりにまだ、いろんな話をしてゐます。 それはやはりみんな本になつて出てゐます。 が此の本の中に納められただけの一とくぎりの中に、どれ程多くの自然界の謎がとかれてあるでせう? それは大ぜいのジユウルや、クレエルや、エミルのやうな子供達の為めになるばかりでなく、無知に馴らされて来た...

2020-08-01

科学の不思議(1/30)

(804字。目安の読了時間:2分) 訳者から  ポオル叔父さんは、本当に驚く程物識りです。 どんな不思議な事の説明でも、分りやすく面白くしてくれます。 ポオル叔父さんの解いてくれる世の中の不思議な謎は、何と云ふ巧妙さで、そして無雑作に出来てゐるのでせう。 どんな事だつて、どんなつまらない事だつて、よく調べ、よく考へて見ると、驚く程意味を持つて生きて来ます。  ポオル叔父さんの姪や甥達...

2020-07-31

麦藁帽子(31/31)

(540字。目安の読了時間:2分) ……  そういう父の悲しい物語を聞いているうち、私は漸くはっきり目をさましながら、いつのまにか、こっそり涙を流している自分に気がついた。 しかしそれは私の母の死を悲しんでいるのではなかった。 その悲しみだったなら、それは私がそのためにすぐこうして泣けるには、あまりに大き過ぎる! 私はただ、目をさまして、ふと昨夜の、自分がもう愛していないと思っていたお前...

2020-07-30

麦藁帽子(30/31)

(656字。目安の読了時間:2分) しかし私は、そんな周囲の生き生きとした光景のおかげで、まるでお前たちとキャンプ生活でもしているかのように、ひとりでに心が浮き立った。  私はお前たちと、その天幕の片隅に、一塊りに重なり合いながら、横になった。 寝返りを打つと、私の頭はかならず誰かの頭にぶつかった。 そうして私たちは、いつまでも寝つかれなかった。 ときおり、かなり大きな余震があった。 ...

2020-07-29

麦藁帽子(29/31)

(552字。目安の読了時間:2分) そしてその流し場に、一塊りの血を吐いていた……  その日の午後、誰にもそのことを知らせずに、私は突然T村を立ち去った。      エピロオグ  地震! それは愛の秩序まで引っくり返すものと見える。  私は寄宿舎から、帽子もかぶらずに、草履のまんま、私の家へ駈(か)けつけた。 私の家はもう焼けていた。 私は私の両親の行方を知りようがなかった。 こ...

2020-07-28

麦藁帽子(28/31)

(601字。目安の読了時間:2分) そうして私はますます彼を避けるようにした。 彼は時々悲しげな目つきで私の方を見つめた。 ……私はそのもの云いたげな、しかし去年とはまるっきり異った眼ざしの中に、彼の苦痛を見抜いたように思った。 しかし私自身はと云えば、もうこれらの日が私の少年時の最後の日であるかのように思いなしていたせいか、至極快活に、お前の兄弟たちと遊び戯れることが出来た。  その...

2020-07-27

麦藁帽子(27/31)

(549字。目安の読了時間:2分) 母はそんな私の野心なんかに気づかずに、ただ私の中に蘇(よみがえ)った子供らしさの故に、夢中になって私を愛した。  その高原から帰ると間もなく、私はT村からお前の兄たちの打った一通の電報を受取った。 それは一種の暗号電報だった。 ――「ボンボンオクレ」  私は今度はなんの希望も抱かずに、ただ気弱さから、お前の兄たちの招待をことわり切れずに、T村を三たび...

2020-07-26

麦藁帽子(26/31)

(621字。目安の読了時間:2分) …まったまま、今にもその詩人が私の名を呼んで、その少女たちに紹介してくれやしないかという期待に胸をはずませながら、しかし何食わぬ顔をして、鶏肉屋の店先きに飼われている七面鳥を見つめていた……  しかし少女たちは私の方なんぞは振り向きもしないで、再びがやがやと話しながら、その詩人から離れて行った。 私も出来るだけその方から、そっぽを向いていた。  それか...

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