ブンゴウメール公式ブログ

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2021-06-24

二銭銅貨(24/30)

(671字。目安の読了時間:2分) 衆人の目の前に曝(さら)して置いて、しかも誰もがそれに気づかないという様な隠し方が最も安全なんだ。  恐るべきあいつは、この点に気づいたんだ。と、想像するのだがね。で、玩具の紙幣という巧妙なトリックを考え出した。俺は、この正直堂というのは、多分玩具の札なんかを印刷する店だと想像した。――これも当って居ったがね。――そこへ、彼奴は大黒屋商店という名で、予め玩...

2021-06-23

二銭銅貨(23/30)

(636字。目安の読了時間:2分) 「今、南無阿弥陀仏を、左から始めて、三字ずつ二行に並べれば、この点字と同じ配列になる。南無阿弥陀仏の一字ずつが、点字の各々の一点に符合する訳だ。そうすれば、点字のアは南、イは南無という工合に当嵌めることが出来る。この調子で解けばいいのだ。そこで、これは、俺が昨夜この暗号を解いた結果だがね。一番上の行が原文の南無阿弥陀仏を点字と同じ配列にしたもの、真中の行がそ...

2021-06-22

二銭銅貨(22/30)

(679字。目安の読了時間:2分)  さて、こいつを解く方法だが、これが英語か仏蘭西語か独逸語なら、ポオの Gold bug にある様にeを探しさえすれば訳はないんだが、困ったことに、こいつは日本語に相違ないんだ。 念の為に一寸ポオ式のディシファリングを試みて見たが、少しも解けない。 俺はここでハタと行詰って了った。  六字の組合せ六字の組合せ、俺はそれ計り考えて又座敷を歩き廻った。 ...

2021-06-21

二銭銅貨(21/30)

(610字。目安の読了時間:2分) (Dancing Men 参照)  で、俺は、俺の知っている限りの暗号記法を、一つ一つ頭に浮べて見た。そして、この紙片れの奴に似ているのを探した。随分手間取った。確か、その時君が飯屋へ行くことを勧めたっけ。俺はそれを断って一生懸命考えた。で、とうとう少しは似た点があると思うのを二つ丈け発見した。  その一つは Bacon の発明した two letter...

2021-06-20

二銭銅貨(20/30)

(645字。目安の読了時間:2分) そこで、彼奴には、あの金を保管させる所の、手下乃至は相棒といった様なものがあるに相違ない。今仮にだ、彼奴が不意の捕縛の為に、五万円の隠し場所を相棒に知らせる暇がなかったとしたらどうだ。彼奴としては、未決監に居る間に、何かの方法でその仲間に通信する外はないのだ。このえたいの知れない紙切が、若しもその通信文であったら……  こういう考が俺の頭に閃いたんだ。無論...

2021-06-19

二銭銅貨(19/30)

(654字。目安の読了時間:2分) …弥陀仏、弥、南阿陀、無阿弥、南陀仏、南阿弥陀、阿陀、南弥、南無弥仏、無阿弥陀、南無弥陀、南弥、南無弥仏、無阿弥陀、南無陀、南無阿、阿陀仏、無阿弥、南阿、南阿仏、陀、南阿陀、南無、無弥仏、南弥仏、阿弥、弥、無弥陀仏、無陀、南無阿弥陀、阿陀仏、 「この坊主の寝言見たようなものは、なんだと思う。俺は最初は、いたずら書きだと思った。前非を悔いた泥坊かなんかが、罪...

2021-06-18

二銭銅貨(18/30)

(756字。目安の読了時間:2分) 見給えこれだ」  彼は、机の抽斗から、その二銭銅貨を取出して、丁度、宝丹の容器を開ける様に、ネジを廻しながら、上下に開いた。 「これ、ね、中が空虚になっている。銅貨で作った何かの容器なんだ。なんと精巧な細工じゃないか、一寸見たんじゃ、普通の二銭銅貨とちっとも変りがないからね。これを見て、俺は思当ったことがあるんだ。俺はいつか、牢破りの名人が用いるという、...

2021-06-17

二銭銅貨(17/30)

(720字。目安の読了時間:2分) 少くとも、君の頭よりは、俺の頭の方が優れているということじゃないかね」  二人の多少知識的な青年が、一間の内に生活していれば、其処に、頭のよさについての競争が行われるのは、至極あたり前のことであった。 松村武と私とは、その日頃、暇にまかせて、よく議論を戦わしたものであった。 夢中になって喋っている内に、いつの間にか夜が明けて了う様なことも珍しくなかった...

2021-06-16

二銭銅貨(16/30)

(666字。目安の読了時間:2分) 仮令このまま我々が頂戴して置いた所で、誰が疑うものか、我々にしたって、五千円よりは五万円の方が有難いではないか。  それよりも恐しいのは、彼奴、紳士泥坊の復讐である。 こいつが恐しい。 刑期の延びるのを犠牲にしてまで隠して置いたこの金を、横取りされたと知ったら、彼奴、あの悪事にかけては天才といってもよい所の彼奴が、見逃して置こう筈がない――松村は寧ろ泥...

2021-06-15

二銭銅貨(15/30)

(595字。目安の読了時間:2分) 俺はどこの番頭さんかと思った」 「シッ、シッ、大きな声だなあ」松村は両手で抑えつける様な恰好をして、囁(ささや)く様な小声で、「大変なお土産を持って来たよ」  というのである。 「君はこんなに早く、どっかへ行って来たのかい」  私も、彼の変な挙動につられて、思わず声を低くして聞いた。 すると、松村は、抑えつけても抑えつけても、溢れて来る様な、ニタニ...

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