ブンゴウメール公式ブログ

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2020-12-21

クリスマス・イーヴ(21/31)

(416字。目安の読了時間:1分) 彼はいつまでも獨身でゐて、僅かながらも自活できるほどの收入があり、それを心がけて遣へば不自由なしに暮してゆけるのだつた。 彼は血縁つづきの間を、まるで氣まぐれな彗星の軌道を運行するのと同じやうに、あちらの引つかかりから今度はそつぽの遠いつながりの處とわたり歩いてゐた。 之は親戚の澤山ある併し財産の少ししかない紳士がイギリスではよくやることであつた。 彼...

2020-12-20

クリスマス・イーヴ(20/31)

(395字。目安の読了時間:1分) お孃さんは自分のお母樣が怖い顏をして向ひ側でたしなめてゐるのを知つてゐても笑ひがとまらなかつたのである。 實際、彼は一座のうちの若い人たちにとつて人氣の的で、彼等は此の人の云ふこと爲すこと、その一つ一つの顏附にもどつと笑ひ轉(こ)けるのであつた。 それもその筈で、彼等の目にはこれが奇蹟とも云へるほど百藝に長じた人と映つたに違ひないのである。 彼はパンチ...

2020-12-19

クリスマス・イーヴ(19/31)

(373字。目安の読了時間:1分) 鼻の形は鸚鵡の嘴のやうで、顏には微かに天然痘の痕があり、秋の霜にあつた木の葉のやうに、いつも乾いて赭みを帶びてゐた。 その眼は敏捷で活々として居り、その底から覗いてゐる茶目つ氣は何人の頬をもほころばせずにおかない底のものであつた。 彼は明かに一族中の曾呂利で、婦人たちに向つて人のわるい冗談や擦を盛に投げつけ昔からの話の種をむしかへして、いつまでも皆のもの...

2020-12-18

クリスマス・イーヴ(18/31)

(385字。目安の読了時間:1分) この料理は小麥を牛乳で煮て藥味で味をつけたもので、昔クリスマス・イーヴにはお定まりの一皿であつた。  わたしにとつて嬉しかつたのは舊知のミンスト・パイをづらりと並んだ御馳走の隨員の中に見つけたことであつた。 そしてこのパイが完全に格式通りのものと分り、またこれがわたしの大好物であることを恥ぢるに及ばぬと分つたので、いつもわたし達が昔馴染の大變上品な知友に...

2020-12-17

クリスマス・イーヴ(17/31)

(418字。目安の読了時間:1分) この純眞な款待の中には何か心の底から流れ來るものがあつて、それを言葉では描き出せないが、直に精神に感應して、新來の客人をも打寛がせるのであつた。 幾分も經たぬうちに、この尊敬すべき老騎士の心地よい爐邊に座を占めてゐたわたしは、家族の一員であるかのやうに打ち融けた氣持になつてしまつてゐた。 晩餐が報ぜられて間もなくわたし達の着いた饗應の室は樫材で造られてゐ...

2020-12-16

クリスマス・イーヴ(16/31)

(441字。目安の読了時間:1分)  鐡床は大きな、のしかかるやうな煖爐から取り外されて、薪火を燃すやうにしつらへ、その眞中にはすばらしく大きい丸太が赫々と燃えさかつて、大量の光と熱とを發散してゐた。 これがユール・クロッグと云ふものだとのこと、老主人が特別に心を用ひてクリスマス・イーヴに運び込んで燃やし、昔の慣例を守つたのであつた。  まことに目に喜ばしく映つたのは老主人の姿であつた。 ...

2020-12-15

クリスマス・イーヴ(15/31)

(411字。目安の読了時間:1分) わたしは今まで廣間と呼んで置いたが、實際たしかに昔は廣間であつたもので、老主人も明かにそれを昔の儘の姿に修復しようと心掛けたものと見えた。 どつしりと突き出てゐる煖爐の上には、甲冑をつけて白馬の側に立つた武士の肖像が掛つて居り、それと向ひ合つた側の壁には兜と楯と槍が掛つてゐた。 室の一端には非常に大きな鹿の角が壁の中に嵌め込んであつて、その鹿叉は帽子や鞭...

2020-12-14

クリスマス・イーヴ(14/31)

(368字。目安の読了時間:1分) みんなは思ひ思ひのことをしてゐた、幾人かのものは銘々に札をもつて骨牌とりをする、他の幾人かは爐を圍んで話合ひ、廣間の一隅に陣取つた若い一群は、もうすこしで大人に成ると云ふ年頃やまだうら若い蕾の年頃のがまざつて賑かな遊びに我を忘れてゐた。 それからまた、木馬や、玩具の喇叭、こはれかけた人形などが床の上に狼藉の跡をとどめてゐるのは、多勢の小さい妖精たちのゐる證...

2020-12-13

クリスマス・イーヴ(13/31)

(442字。目安の読了時間:1分) 主人は人柄で、健康さうな顏附の老紳士、銀髮がかるく縮れて、隈のない赭顏を包んでゐた。 觀相家はこの赭顏の中に、わたしのやうに前以て二三の暗示を聞く便宜があれば、氣紛れと慈悲心が不思議に混り合つてゐるのを見るのである。  父子再會の有樣はいかにも愛情に滿ち溢れてゐた。 夜は更けてゐたので、老主人はわたし達に旅裳束を着替へることも許さず、すぐさま大勢集つて...

2020-12-12

クリスマス・イーヴ(12/31)

(476字。目安の読了時間:1分) それは建物の一方の端からであつたが、ブレイスブリッジの言葉によると、確に召使部屋から聞えてくるのであつて、この部屋では思ふ存分に歡を盡すことが許される、いな御主人から獎勵される位で、クリスマスの十二日間ぶつ續けだつたが、ただ何事も昔の慣例に從はねばならなかつた。 ここでは昔の遊び事がそのまま保存されて、鬼ごつこ、罰金遊び、目隱物當、白菓子盜、林檎受、葡萄取...

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