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そうしたら、僕の心にえらい智慧(ちえ)が湧いて来ました。 あの狸帽子が天の所でいたずらをしているので、おとうさんやおかあさんは僕のいるのがお分かりにならないんだ。 そうだ、あの帽子に化けている狸おやじを征伐するより外はない。 そう思いました。 で、僕は空中にぶら下がっている帽子を眼がけて飛びついて、それをいじめて白状させてやろうと思いました。 僕は高飛びの身構えをしました。 「レデー・オン・ゼ・マーク……ゲッセット……ゴー」 力一杯跳ね上がったと思うと、僕の体はどこまでもどこまでも上の方へと登って行きます。 面白いように登って行きます。 とうとう帽子の所に来ました。 僕は力みかえって帽子をうんと掴(つか)みました。 帽子が「痛い」といいました。 その拍子に帽子が天の釘(くぎ)から外れでもしたのか僕は帽子を掴んだまま、まっさかさまに下の方へと落ちはじめました。 どこまでもどこまでも。 もう草原に足がつきそうだと思うのに、そんなこともなく、際限もなく落ちて行きました。
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