ブンゴウメール公式ブログ

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ジャン・クリストフ(16/31)

(510字。目安の読了時間:2分) 誰かの祝い日になると、きっとやってきて、心をこめて選んだかわいい贈物をポケットからとりだした。誰もお礼をいうのを忘れるほどそれに馴(な)れきっていた。彼の方では、贈物をすることがうれしくて、それだけでもう満足…

ジャン・クリストフ(15/31)

(536字。目安の読了時間:2分) 生きるように、楽しく生きるように頑固に出来上ってる、丈夫な騒々しい荒っぽいクラフト家の人たちの間にあって、いわば人生の外側か端っこにうち捨てられてるこの弱い善良な二人は、今までお互に一言も口には出さなかったが…

ジャン・クリストフ(14/31)

(574字。目安の読了時間:2分) クリストフの祖父と父は、彼を嘲りぎみに軽蔑していた。そのちっぽけな男がおかしく思われたし、行商人という賤(いや)しい身分に自尊心を傷つけられるのだった。彼等はそのことをあからさまに見せつけたが、彼は気づかない…

ジャン・クリストフ(13/31)

(506字。目安の読了時間:2分) すると小父はまっさきに笑いだし、されるままになって少しも怒らなかった。彼はちっぽけな行商人だった。香料、紙類、砂糖菓子、ハンケチ、襟巻、履物、缶詰、暦、小唄集、薬類など、いろんなもののはいってる大きな梱(こり…

ジャン・クリストフ(12/31)

(501字。目安の読了時間:2分) そんなふうに、彼はすっかり甘やかされてだめになるところだった。しかし幸なことに、彼は生まれつき賢い性質だったので、ある一人の男のよい影響をうけて救われた。その男というのは、ほかの人に影響を与えるなどとは自分で…

ジャン・クリストフ(11/31)

(525字。目安の読了時間:2分) …って、一家の光栄、芸術の光栄、祖国の光栄となった時、お前が有名になった時、その時になって、思い出してくれるだろうね、お前を最初に見出し、お前の将来を予言したのは、この年とったお祖父さんだったということをね……」…

ジャン・クリストフ(10/31)

(595字。目安の読了時間:2分) お前よりほかの人に知らせる必要はない。ただ……(ここで彼の声はふるえた)……ただ、あとで、お祖父さんがもういなくなった時、お前はこれを見て、年とったお祖父さんのことを思い出してくれるだろう、ねえ! お祖父さんを忘…