ブンゴウメール公式ブログ

青空文庫の作品を1ヶ月で読めるように毎日小分けでメール配信してくれるサービス「ブンゴウメール」の公式ブログです。

2019-04-08

桜の森の満開の下(8/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール (637字。目安の読了時間:2分) どういう不安だか、なぜ、不安だか、何が、不安だか、彼には分らぬのです。 女が美しすぎて、彼の魂がそれに吸いよせられていたので、胸の不安の波立ちをさして気にせずにいられただけです。  なんだか、似ているようだな、と彼は思いました。 似たことが、いつか、あった、それは、と彼は考えました。 アア、そうだ、あれだ。 気がつくと彼はびっくり...

2019-04-07

桜の森の満開の下(7/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール (627字。目安の読了時間:2分) 首がまだコロコロととまらぬうちに、女のふっくらツヤのある透きとおる声は次の女を指して美しく響いていました。 「この女よ。今度は」  指さされた女は両手に顔をかくしてキャーという叫び声をはりあげました。 その叫びにふりかぶって、ダンビラは宙を閃いて走りました。 残る女たちは俄に一時に立上って四方に散りました。 「一人でも逃したら承知...

2019-04-06

桜の森の満開の下(6/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール (628字。目安の読了時間:2分) 家の中から七人の女房が迎えに出てきましたが、山賊は石のようにこわばった身体をほぐして背中の女を下すだけで勢一杯でした。  七人の女房は今迄に見かけたこともない女の美しさに打たれましたが、女は七人の女房の汚さに驚きました。 七人の女房の中には昔はかなり綺麗な女もいたのですが今は見る影もありません。 女は薄気味悪がって男の背へしりぞいて、...

2019-04-05

桜の森の満開の下(5/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール (685字。目安の読了時間:2分) 彼は威張りかえって肩を張って、前の山、後の山、右の山、左の山、ぐるりと一廻転して女に見せて、 「これだけの山という山がみんな俺のものなんだぜ」  と言いましたが、女はそんなことにはてんで取りあいません。 彼は意外に又残念で、 「いいかい。お前の目に見える山という山、木という木、谷という谷、その谷からわく雲まで、みんな俺のものなんだぜ...

2019-04-04

【お知らせ】ブンゴウメールの姉妹サービス「ゾラサーチ」をリリースしました

いつもブンゴウメールをご利用いただきありがとうございます。 今日はブンゴウメールの姉妹サービスとして、青空文庫の作品を目安の読了時間で検索できるサービス「ゾラサーチ」をリリースしたのでお知らせします。 \=============================== 【1】 どんなサービス? \=============================== ▼ゾラサーチ | 青空文庫の...

2019-04-04

桜の森の満開の下(4/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール (612字。目安の読了時間:2分) 山賊は承知承知と女を軽々と背負って歩きましたが、険しい登り坂へきて、ここは危いから降りて歩いて貰おうと言っても、女はしがみついて厭々、厭ヨ、と言って降りません。 「お前のような山男が苦しがるほどの坂道をどうして私が歩けるものか、考えてごらんよ」 「そうか、そうか、よしよし」と男は疲れて苦しくても好機嫌でした。 「でも、一度だけ降りてお...

2019-04-03

桜の森の満開の下(3/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール (678字。目安の読了時間:2分)  けれども山賊は落付いた男で、後悔ということを知らない男ですから、これはおかしいと考えたのです。 ひとつ、来年、考えてやろう。 そう思いました。 今年は考える気がしなかったのです。 そして、来年、花がさいたら、そのときじっくり考えようと思いました。 毎年そう考えて、もう十何年もたち、今年も亦、来年になったら考えてやろうと思って、又...

2019-04-02

桜の森の満開の下(2/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール (655字。目安の読了時間:2分) なぜなら人間の足の早さは各人各様で、一人が遅れますから、オイ待ってくれ、後から必死に叫んでも、みんな気違いで、友達をすてて走ります。 それで鈴鹿峠の桜の森の花の下を通過したとたんに今迄仲のよかった旅人が仲が悪くなり、相手の友情を信用しなくなります。 そんなことから旅人も自然に桜の森の下を通らないで、わざわざ遠まわりの別の山道を歩くように...

2019-04-01

桜の森の満開の下(1/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール (646字。目安の読了時間:2分) 桜の花が咲くと人々は酒をぶらさげたり団子をたべて花の下を歩いて絶景だの春ランマンだのと浮かれて陽気になりますが、これは嘘です。 なぜ嘘かと申しますと、桜の花の下へ人がより集って酔っ払ってゲロを吐いて喧嘩して、これは江戸時代からの話で、大昔は桜の花の下は怖しいと思っても、絶景だなどとは誰も思いませんでした。 近...

2019-03-31

【ブンゴウメール】オシャベリ姫 (31/31)

(855字。目安の読了時間:2分) それから眼がさめて考えてみますと、オシャベリ姫というお名前はあなたの外にありませんから、心配になりまして、すぐに馬に乗ってこのお城へ駈けつけてみますと、私の夢は本当で、あなたは石の牢屋に入れられておいでになることをあなたの御両親からききました。それであなたの夢が嘘でないことを申し上げてお許しを願ったのです」  このお話をきいていた姫は、夢が本当なのか本当が...

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