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それから眼がさめて考えてみますと、オシャベリ姫というお名前はあなたの外にありませんから、心配になりまして、すぐに馬に乗ってこのお城へ駈けつけてみますと、私の夢は本当で、あなたは石の牢屋に入れられておいでになることをあなたの御両親からききました。それであなたの夢が嘘でないことを申し上げてお許しを願ったのです」
このお話をきいていた姫は、夢が本当なのか本当が夢なのかわからなくなってしまいました。
その時にお父様の王様はこう云われました。
「姫よ。おまえがあんまりオシャベリをするから本当の話でも嘘と思われるのだ。これからお前はオトナシ姫と名を更えろ。そうして決していらぬことをオシャベリするな」
こう云われますと、姫は真赤になって恥かしがりながら、
「私がわるう御座いました。これからは決しておしゃべりいたしません」
とお詫びをしました。
王はそれから二人の女中にこう云われました。
「お前たちは姫から短刀と蜘蛛の話をきいたのだろう」
二人の女中は顔を見あわせて真赤になりましたが、やがてこうお答えしました。
「ハイ。たしかにそのお話をききました」
「それに何だってきかないなぞと嘘をついたのだ」
こう尋ねられますと、二人の女中はなおなお恥かしそうにしながらこう答えました。
「ハイ。蜘蛛と短刀の夢を見ると、きっといいお婿様がお出でになる。けれどもそのことが相手のお婿様のお耳に入るとダメになる、と昔から申し伝えてあります。それで私共は、お姫様によいお婿さまがお出でになるように、わざと嘘だと申しましたのです」
王様もお妃様もムクチ王子もオシャベリ姫のオトナシ姫も、二人の女中の忠義心に感心をしておしまいになりました。
ムクチ王子がオシャベリ姫のオトナシ姫のお婿さんとなって華々しい御婚礼があったのは、それから間もないことでした。
そのときに二人の女中は王様から沢山の御褒美をいただきました。
そうして死ぬまで忠義にムクチ王子とオトナシ姫に仕えました。
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