(519字。目安の読了時間:2分) また、だれ一人タラカン王の軍隊を相手にして戦するものもありませんでした。 そこでタラカン王は、村々を占領するために兵隊をつかわしました。 兵隊たちが村に入ると、村の者たちは男も女も、びっくりして家を飛び出し、ものめずらしそうに見ています。 兵隊たちが穀物や牛馬などを取りにかかると、要るだけ取らせて、ちっとも抵抗しませんでした。 次の村...
(521字。目安の読了時間:2分) ならんでいい。」 とイワンは答えました。 そこで人民たちは、将軍のところへ行って、兵隊になることをことわりました。 年よった悪魔はこの企ての駄目なことを見て取りました。 そこでイワンの国を出て、タラカン王のところへ行って言いました。 「イワン王と戦をしてあの国を取ってしまってはいかがでしょう。あの国には金はちっともありませんが、...
(492字。目安の読了時間:1分) 兵隊は殺されると聞いているがほんとかい。」 「うん、そりゃ時には殺される。」 これを聞いて人民たちはどうしてもきかなくなりました。 「じゃ、兵隊に行かないことにしよう。それよっか家で死んだ方がましだ。どうせ人間は死ぬもんだからな。」 と人民たちは言いました。 「馬鹿!お前たちはまったく馬鹿だ!兵隊に行きゃ必ず殺されるときまってや...
(497字。目安の読了時間:1分) と言いました。 そこで年よった悪魔は、イワンの国中を廻(めぐ)って兵隊を集めにかかりました。 かれは人々に、軍隊に入れば酒は飲めるし、赤いきれいな帽子を一つ貰える、と話しました。 人々は笑って 「酒はおれたちで造るんでどっさりある。それに帽子はすじの入った総つきのでも女たちがこさえてくれる。」 と言いました。 そして誰一...
(493字。目安の読了時間:1分) そしてうわさに聞くと、例の商人は今度はタラス王を買うと言って、いばっていると言うことでした。 タラス王はすっかり胆をつぶして、どうしていいかわからなくなってしまいました。 ちょうどこの時兵隊のシモンがやって来て、 「助けてくれ、印度王にすっかりやられてしまった。」 と言いました。 しかし、タラス王自身も動きのとれないくらい苦し...
(563字。目安の読了時間:2分) 毎日せっせと働いて、例の商人から貰った金を、王のところへ持って来て納めるだけでした。 こうして、タラス王はしまい切れないほどの金を集めることは出来ましたが、その暮しといったら、それはみじめになりました。 王はもういろんなくわだてをやめて、ただ生きて行けるだけでがまんするようになりましたが、やがてそれも出来なくなりました。 すべてに不自由し...
(527字。目安の読了時間:2分) タラス王はたくさんの金がありましたが、れいの商人はもっとたくさん持っています。 で、商人は何から何までタラス王の上に出ました。 タラス王の御殿はそのままで、普請はちっともはかどりませんでした。 タラス王は庭をこさえようと考えました。 秋になったので、その庭へ木を植えさせるつもりで、人民たちを呼びましたが、誰一人やって来ませんでした...
(559字。目安の読了時間:2分) さて、年よった悪魔はこちらを片づけたので今度はタラス王の方へ向いました。 かれは商人に化けてタラスの国に足をとめ、店を出して、金を使いはじめました。 かれは何を買っても大へん高くお金を払うので、誰もかもお金欲しさに、どしどしこの新しい商人のところへ集まって来ました。 そこで大したお金が人々のふところに入って、人民たちはとどこおりなく税金...
(514字。目安の読了時間:2分) とシモン王は言いました。 ところが印度王はシモン王のことを聞いて、すっかりその考えをまねてしまいました。 そしてそればかりでなく、自分の方でいろいろと工夫しました。 印度王の兵隊は、若い者ばかりでなく、よめ入前の娘まで加えて、シモン王の兵隊よりもずっとたくさんの兵隊を集めました。 その上シモン王の銃や大砲とそっくり、同じものを作り、...
(552字。目安の読了時間:2分) この新しい司令官は、シモン王に強い軍隊の作りかたを教えはじめました。 「まず第一にもっと兵隊を集めましょう。国にはまだうんと遊んでいるものがおります。若い者は一人残らず兵隊にしなくちゃいけません。すると今の五倍だけの兵隊を得ることになります。次には新しい銃と大砲を手に入れなくちゃなりません。私は一時に五百発の弾丸を打ち出す銃をお目にかけることに...