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タラス王はたくさんの金がありましたが、れいの商人はもっとたくさん持っています。
で、商人は何から何までタラス王の上に出ました。
タラス王の御殿はそのままで、普請はちっともはかどりませんでした。
タラス王は庭をこさえようと考えました。
秋になったので、その庭へ木を植えさせるつもりで、人民たちを呼びましたが、誰一人やって来ませんでした。
みんな、れいの商人の家の池を掘りに行っていました。
冬が来て、タラス王は、新しい外套につける黒貂の皮が欲しくなったので、使の者に買わせにやりました。
すると使のものは帰って来て、言いました。
「黒貂の皮は一枚もございません。あの商人がすっかり高価で買いしめてしまって、敷物をこさえてしまいました。」
タラス王は今度は馬を買おうと思って、使をやりました。
すると使の者が帰って来て言いました。
「あの商人が、残らず買ってしまいました。池に満たす水を運ばすためでございます。」
タラス王のすることは、何もかも、すっかり止まってしまいました。
人民たちは誰一人タラス王の仕事をしようとはしませんでした。
毎日せっせと働いて、例の商人から貰った金を、王のところへ持って来て納めるだけでした。
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