ブンゴウメール公式ブログ

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2019-10-18

おじいさんのランプ(18/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール (401字。目安の読了時間:1分) … と巳之助が一人であざわらいながら、知合いの甘酒屋にはいってゆくと、いつも土間のまん中の飯台の上に吊してあった大きなランプが、横の壁の辺に取りかたづけられて、あとにはそのランプをずっと小さくしたような、石油入れのついていない、変なかっこうのランプが、丈夫そうな綱で天井からぶらさげられてあった。 「何だやい、変なものを吊したじゃねえか。...

2019-10-17

おじいさんのランプ(17/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール (576字。目安の読了時間:2分)  巳之助にはよくのみこめなかった。 電気のことなどまるで知らなかったからだ。 ランプの代りになるものらしいのだが、そうとすれば、電気というものはあかりにちがいあるまい。 あかりなら、家の中にともせばいいわけで、何もあんなとてつもない柱を道のくろに何本もおっ立てることはないじゃないかと、巳之助は思ったのである。  それから一月ほどたっ...

2019-10-16

おじいさんのランプ(16/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール (445字。目安の読了時間:1分) 家には子供が二人あった。 「自分もこれでどうやらひとり立ちができたわけだ。まだ身を立てるというところまではいっていないけれども」と、ときどき思って見て、そのつど心に満足を覚えるのであった。  さて或る日、巳之助がランプの芯を仕入れに大野の町へやって来ると、五、六人の人夫が道のはたに穴を堀り、太い長い柱を立てているのを見た。 その柱の上...

2019-10-15

おじいさんのランプ(15/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール (411字。目安の読了時間:1分) とききかえしたので、嘘のきらいな巳之助は、自分でためして見る気になり、区長さんのところから古新聞をもらって来て、ランプの下にひろげた。  やはり区長さんのいわれたことはほんとうであった。 新聞のこまかい字がランプの光で一つ一つはっきり見えた。 「わしは嘘をいってしょうばいをしたことにはならない」と巳之助はひとりごとをいった。 しかし...

2019-10-14

おじいさんのランプ(14/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール (518字。目安の読了時間:2分)  そして今はもう、よその家の走り使いや子守をすることはやめて、ただランプを売るしょうばいだけにうちこんだ。 物干台のようなわくのついた車をしたてて、それにランプやほやなどをいっぱい吊し、ガラスの触れあう涼しい音をさせながら、巳之助は自分の村や附近の村々へ売りにいった。  巳之助はお金も儲かったが、それとは別に、このしょうばいがたのしかっ...

2019-10-13

おじいさんのランプ(13/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール (467字。目安の読了時間:1分)  雑貨屋の婆さんは、しぶしぶ承知して、店の天井に釘を打ってランプを吊し、その晩からともした。  五日ほどたって、巳之助が草鞋を買ってもらいに行くと、雑貨屋の婆さんはにこにこしながら、こりゃたいへん便利で明かるうて、夜でもお客がよう来てくれるし、釣銭をまちがえることもないので、気に入ったから買いましょう、といった。 その上、ランプのよいこ...

2019-10-12

おじいさんのランプ(12/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール (426字。目安の読了時間:1分) うちのランプをどんどん持ってって売ってくれ」 といって、ランプを巳之助に渡した。  巳之助はランプのあつかい方を一通り教えてもらい、ついでに提燈がわりにそのランプをともして、村へむかった。  藪や松林のうちつづく暗い峠道でも、巳之助はもう恐くはなかった。 花のように明かるいランプをさげていたからである。  巳之助の胸の中にも、もう...

2019-10-11

おじいさんのランプ(11/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール (486字。目安の読了時間:1分)  ランプ屋の主人は、見も知らぬどこかの小僧がそんなことをいったので、びっくりしてまじまじと巳之助の顔を見た。 そしていった。 「卸値で売れって、そりゃ相手がランプを売る家なら卸値で売ってあげてもいいが、一人一人のお客に卸値で売るわけにはいかんな」 「ランプ屋なら卸値で売ってくれるだのイ?」 「ああ」 「そんなら、おれ、ランプ屋だ。...

2019-10-11

おじいさんのランプ(11/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール (486字。目安の読了時間:1分)  ランプ屋の主人は、見も知らぬどこかの小僧がそんなことをいったので、びっくりしてまじまじと巳之助の顔を見た。 そしていった。 「卸値で売れって、そりゃ相手がランプを売る家なら卸値で売ってあげてもいいが、一人一人のお客に卸値で売るわけにはいかんな」 「ランプ屋なら卸値で売ってくれるだのイ?」 「ああ」 「そんなら、おれ、ランプ屋だ。...

2019-10-10

おじいさんのランプ(10/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール (398字。目安の読了時間:1分)  巳之助はしばらくその店のまえで十五銭を握りしめながらためらっていたが、やがて決心してつかつかとはいっていった。 「ああいうものを売っとくれや」 と巳之助はランプをゆびさしていった。 まだランプという言葉を知らなかったのである。  店の人は、巳之助がゆびさした大きい吊ランプをはずして来たが、それは十五銭では買えなかった。 「負けと...

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