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僕達は若い女の先生に連れられて教場に這入り銘々の席に坐りました。 僕はジムがどんな顔をしているか見たくってたまらなかったけれども、どうしてもそっちの方をふり向くことができませんでした。 でも僕のしたことを誰も気のついた様子がないので、気味が悪いような、安心したような心持ちでいました。 僕の大好きな若い女の先生の仰ることなんかは耳に這入りは這入ってもなんのことだかちっともわかりませんでした。 先生も時々不思議そうに僕の方を見ているようでした。 僕は然し先生の眼を見るのがその日に限ってなんだかいやでした。 そんな風で一時間がたちました。 なんだかみんな耳こすりでもしているようだと思いながら一時間がたちました。 教場を出る鐘が鳴ったので僕はほっと安心して溜息をつきました。 けれども先生が行ってしまうと、僕は僕の級で一番大きな、そしてよく出来る生徒に「ちょっとこっちにお出で」と肱(ひじ)の所を掴(つか)まれていました。 僕の胸は宿題をなまけたのに先生に名を指された時のように、思わずどきんと震えはじめました。
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