(654字。目安の読了時間:2分)
…弥陀仏、弥、南阿陀、無阿弥、南陀仏、南阿弥陀、阿陀、南弥、南無弥仏、無阿弥陀、南無弥陀、南弥、南無弥仏、無阿弥陀、南無陀、南無阿、阿陀仏、無阿弥、南阿、南阿仏、陀、南阿陀、南無、無弥仏、南弥仏、阿弥、弥、無弥陀仏、無陀、南無阿弥陀、阿陀仏、 「この坊主の寝言見たようなものは、なんだと思う。俺は最初は、いたずら書きだと思った。前非を悔いた泥坊かなんかが、罪亡ぼしに南無阿弥陀仏を沢山並べて書いたのかと思った。そして、牢破りの道具の代りに銅貨の中へ入れて置いたのじゃないかと思った。が、それにしては、南無阿弥陀仏と続けて書いてないのがおかしい。陀とか、無弥仏とか、悉く南無阿弥陀仏の六字の範囲内ではあるが、完全に書いたのは一つもない。一字切りの奴もあれば、四字五字の奴もある。俺は、こいつはただの悪戯書きではないなと感づいた。 丁度その時、君が湯屋から帰って来た跫音がしたんだ。俺は急いで、二銭銅貨とその紙片を隠した。どうして隠したというのか。俺にもはっきり分らないが、多分この秘密を独占したかったのだろう。そして凡てが明かになってから君に見せて、自慢したかったのだろう。ところが、君が梯子段を上っている間に、俺の頭に、ハッとする様なすばらしい考が閃(ひらめ)いたんだ。というのは、例の紳士泥坊のことだ。五万円の紙幣をどこへ隠したのか知らないが、まさか、刑期が満るまで其儘でいようとは、彼奴だって考えないだろう。そこで、彼奴には、あの金を保管させる所の、手下乃至は相棒といった様なものがあるに相違ない。
========================= ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう! https://bit.ly/2Twaeh9
■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv ■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.com ■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/001779/files/56647_58167.html ■運営へのご支援はこちら: https://www.buymeacoffee.com/bungomail ■月末まで一時的に配信を停止: https://bungomail.com/unsubscribe
配信元: ブンゴウメール編集部 NOT SO BAD, LLC. Web: https://bungomail.com 配信停止:[unsubscribe]