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一寸見ると普通のモーニングだが、実は手品使いの服の様に、附けられる丈けの隠し袋が附いているんです。五万円位の金を隠すのは訳はありません。支那人の手品使いは、大きな、水の這入った丼鉢でさえからだの中へ隠すではありませんか」 さて、この泥坊事件がこれ丈けでおしまいなら、別段の興味もないのであるが、茲に一つ普通の泥坊と違った、妙な点があった。 そして、それが私のお話の本筋に、大いに関係がある訳なのである。 というのは、この紳士泥坊は、盗んだ五万円の隠し場所について、一言も白状しなかったのである。 警察と、検事廷と、公判廷と、この三つの関所で、手を換え品を換えて責め問われても、彼はただ知らないの一点張りで通した。 そして、おしまいには、その僅か一週間ばかりの間に、使い果して了ったのだという様な、出鱈目をさえ云い出したのである。 其筋としては、探偵の力によって、その金のありかを探し出す外はなかった。 そして、随分探したらしいのであるが、一向見つからなかった。 そこで、その紳士泥坊は、五万円隠匿の廉によって、窃盗犯としては可也重い懲役に処せられたのである。 困ったのは被害者の工場である。 工場としては、犯人よりは五万円が発見して欲しかったのである。 勿論、警察の方でもその金の捜索を止めた訳ではないが、どうも手ぬるい様な気がする。 そこで、工場の当の責任者たる支配人は、その金を発見したものには、発見額の一割の賞を懸けるということを発表した。
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