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…てはしゃいでいるけれども、これはまた敗戦便乗とでもいうのでしょうか、無条件降伏の屍(しかばね)にわいた蛆虫のような不潔な印象を消す事が出来ず、四月十日の投票日にも私は、伯父の局長から自由党の加藤さんに入れるようにと言われていたのですが、はいはいと言って家を出て海岸を散歩して、それだけで帰宅しました。 社会問題や政治問題に就いてどれだけ言い立てても、私たちの日々の暮しの憂鬱は解決されるものではないと思っていたのですが、しかし、私はあの日、青森で偶然、労働者のデモを見て、私の今までの考えは全部間違っていた事に気がつきました。 生々溌剌、とでも言ったらいいのでしょうか。 なんとまあ、楽しそうな行進なのでしょう。 憂鬱の影も卑屈の皺(しわ)も、私は一つも見出す事が出来ませんでした。 伸びて行く活力だけです。 若い女のひとたちも、手に旗を持って労働歌を歌い、私は胸が一ぱいになり、涙が出ました。
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