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第十五夜のリューネブルク、第二十五夜のフランクフルトには一八三三、四年に訪れている。 一八三三年から三四年にかけてのイタリア旅行の印象は第十二夜、第十八夜、第二十夜などにあらわれている。 なかでも、暗い北欧生れのアンデルセンがあこがれてやまなかった明るい南の国イタリアは、この本においても最も多く描かれているのである。 また一方においては空想の翼に乗って、遠くインドをはじめ、グリーンランドやアフリカ、中国にまでも思いを馳(は)せている。 それらは第一夜、第九夜、第二十一夜、第二十七夜となってあらわれている。 そのほか子供についての話は六つほどあるが、それを描くのにあたたかい優しい感情をもって、しかも明るいユーモアを忘れていないところはいかにも童話詩人らしい。 さらにまた諧謔にあふれたもの、あるいは苦悩にみちたものもあり、人生の一断面のスケッチもある。 小さい本ながら、まことに盛りだくさんである。 しかもこの本は、月が絵かきに物語る話という形を取ってはいるものの、その特徴とするところは絵画の素材を与えるための、眼まぐるしいばかりの場面の展開にあるのではない。 一つ一つの短い物語の底に流れる、絵を絶した浪漫的香りも高い詩情こそその生命なのである。 翻訳のテキストとしてはコペンハーゲンの Gyldendal 書店から一九四三年に発行されている H.C.Andersens Romaner og Rejseskildringer(小説、旅行記集)の第四巻に収められている Billedbog uden Billeder を用いた。 ただ、年少の読者にも読みやすいように、改行を多くしたことを一言おことわりしておく。 (一九五二年六月二十六日)
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