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『あたし、お祈りしたのよ。パンにバターもたくさんつけてくださいまし、ってね!』」 [#改ページ] 解説 矢崎源九郎 アンデルセンといえば、おそらくその名を知らない者はないといってもよいであろう。 ことに童話詩人としての彼の名前は、われわれにとってはなつかしい響きを持っているのである。 しかし彼は単に童話を書いたばかりではない。 小説に戯曲に詩に旅行記に、じつに多方面にわたって筆をふるっている。 なかんずく、イタリアの美しい自然を背景として美少年アントーニオと歌姫アヌンチアータとの悲恋を描いた『即興詩人』のごときは忘れがたい作品の一つであるといえよう。 ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen ――われわれはいつのまにかアンデルセンと呼びなれているが、これはわが国独特の呼び方であろう。 いったいに外国の発音をカナで書き表わすことは不可能であるが、デンマーク流の発音はアナスン、アネルセンに近い――は一八〇五年四月二日に豊かな伝説と古い民謡とに恵まれているデンマークのオーデンセという町に生れた。 生れ故郷のオーデンセは、ブナの木の林のあいだに麦やウマゴヤシの畑がかぎりなく続いているフューン島という美しい緑の島にあった。 父は貧しい靴職人であったが、折にふれて幼いアンデルセンにおとぎばなしや物語などを読んで聞かせた。 文学への興味はこのころの父の感化によって芽生えたといってもよい。 母は働く一方の女で学問はなかったが、深い信仰心を持っていた。 このふたりのもとに、幼いころはともかくも幸せな日々を送ることができたのである。 しかし、十一歳のときに父を失うに及んで、この幸福の夢もはかなく消え去ってしまった。
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