ブンゴウメール公式ブログ

青空文庫の作品を1ヶ月で読めるように毎日小分けでメール配信してくれるサービス「ブンゴウメール」の公式ブログです。

2021-02-24

絵のない絵本(55/59)

(745字。目安の読了時間:2分)

そのため母親は、毎晩その子の寝床のそばにすわって、その子が『主の祈り』をとなえるのを聞いてやるのでした。そのあとで、その子はキスをしてもらうのです。そして母親はその子が眠りつくまで、そばにいてやります。でも小さい眼は閉じたかとおもうと、すぐに眠ってしまいます。  今夜は、上のふたりの子がすこしあばれていました。ひとりは長い白い寝巻を着て、片足でピョンピョン跳ねまわりました。もうひとりは、ほかの子供たちの着物をみんな自分のからだに巻きつけて、椅子の上に立ちあがり、ぼくは活人画だぞ、みんなであててみろ、と言いました。三番目と四番目の子は、おもちゃをきちんと引出しの中へ入れました。もっともこれは、そうしなくてはいけないことですけども。母親はいちばん小さい子の寝床のそばにすわって、いまこの小さい子が『主の祈り』をとなえるから、みんな静かになさい、と言いました。  わたしはランプごしにのぞきこんでいました」と、月が言いました。 「四つになる女の子は寝床の中で、白いきれいなシーツの中に寝ていました。そして小さい両手を合せて、たいそうまじめくさった顔をしていました。いましも『主の祈り』を声高にとなえているところだったのです。 『あら、それは何なの?』母親はこう言って、お祈りの途中でさえぎりました。『おまえはきょうもわれらに日々のパンを与えたまえと言ってから、ほかにも何か言ったのね。お母さんにはよく聞えなかったけど、それは何? お母さんに言ってごらんなさい!』――すると、女の子は黙ったまま、困りきった顔をして母親を見ていました。 『きょうもわれらに日々のパンを与えたまえと言ったあとで、おまえはなんて言ったの?』 『お母さん、怒らないでね』と、小さな女の子は言いました。『あたし、お祈りしたのよ。

========================= ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう!  https://bit.ly/3mRSvcV

■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv ■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.com ■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/000019/files/58165_64334.html ■運営へのご支援はこちら: https://www.buymeacoffee.com/bungomail ■月末まで一時的に配信を停止: https://forms.gle/d2gZZBtbeAEdXySW9


配信元: ブンゴウメール編集部 NOT SO BAD, LLC. Web: https://bungomail.com 配信停止:[unsubscribe]

公式サイト

ブンゴウメール

ブンゴウメール

1日3分のメールでムリせず毎月1冊本が読める、忙しいあなたのための読書サポートサービス

ブンゴウサーチ

ブンゴウサーチ

ブンゴウサーチは、青空文庫の作品を目安の読了時間で検索できるサービスです。