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あの大きな、毛むくじゃらの熊ではありませんか! 熊は下の中庭に立っているのがたいくつになったのです。そして、階段を上る道を見つけたのでした。わたしはそれをのこらず見ていました!」と、月が言いました。 「子供たちはこの大きな毛むくじゃらの動物を見るとびっくりぎょうてんして、めいめい隅っこへ這(は)いこみました。けれども、熊は三人ともみんな見つけてしまいました。そうして鼻でくんくん嗅ぎまわりました。でも、べつに悪いことはなんにもしませんでした。 『これはきっと大きい犬だ』子供たちはそう思ったものですから、熊をなでてやりました。熊はごろりと床の上に横になりました。いちばん小さい男の子はその上をころげまわって遊びました。その子のちぢれた金髪の頭は、熊の濃い黒い毛皮の中にかくれました。こんどは、いちばん大きい子が太鼓を持ちだして、ドンドンたたきました。すると、熊は二本の後足で立ちあがって、踊りだしました。それはほんとにおもしろいありさまでした! 子供たちは、めいめい鉄砲をかつぎました。熊も一つもらいました。そして、それをちゃんとかつぎました。これは、子供たちの見つけたすばらしい仲間です! それからみんなは、『一、二、一、二!』と行進しました。 そのとき、戸に手をかけたものがありました。戸が開きました。それは子供たちの母親でした。その瞬間の母親のようすといったら、まったく、きみに見せてあげたいものでした。物も言えない驚き、石灰のような青白い顔、半ば開いた口、じっと見すえた眼、そうしたようすはほんとにきみに見せてあげたいものでした。ところがいちばん小さい男の子は、心から嬉(うれ)しそうにうなずいてみせました。そして、この子なりの言葉で大声に叫びました。 『ぼくたち、兵隊ごっこちているだけよ!
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