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プルチネッラがすっかり不機嫌になっているときでも、コロンビーナだけはこの男をほほえませることのできる、いや大笑いをさせることのできるただひとりの人でした。最初のうちはコロンビーナもこの男といっしょに憂鬱になっていましたが、やがていくらか落ちつき、最後には冗談ばかりを言いました。 『あたし、あんたに何が欠けているか知ってるわ』と、コロンビーナは言いました。『それは恋愛なのよ』 それを聞くと、プルチネッラは笑いださずにはいられませんでした。 『ぼくと恋愛だって!』と、この男は叫びました。『そいつはさぞかし愉快だろうな! 見物人は夢中になって騒ぎたてるだろうよ!』 『そうよ、恋愛よ!』と、コロンビーナはつづけて言いました。そしてふざけた情熱をこめて、つけ加えました。『あんたが恋しているのは、このあたしよ!』 そうです、恋愛と関係のないことがわかっているときには、こんなことが言えるものなのです。すると、プルチネッラは笑いころげて飛び上がりました。こうして憂鬱もふっとんでしまいました。けれども、コロンビーナは真実のことを言ったのです。プルチネッラはコロンビーナを愛していました。しかも、芸術における崇高なもの、偉大なものを愛するのと同じように、コロンビーナを高く愛していたのです。コロンビーナの婚礼の日には、プルチネッラはいちばん楽しそうな人物でした。しかし夜になると、プルチネッラは泣きました。もしも見物人がそのゆがんだ顔を見たならば、手をたたいて喜んだことでしょう。 ついこのあいだ、コロンビーナが死にました。葬式の日には、アルレッキーノは舞台に出なくてもいいことになりました。この男は悲しみに打ち沈んだ男やもめなんですから。そこで監督は、美しいコロンビーナと陽気なアルレッキーノが出なくても見物人を失望させないように、何かほんとうに愉快なものを上演しなければなりませんでした。
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