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あの男を個人的にほめる者はいくらでもある。われわれはあの男を慢心させないようにしようじゃないか!』 『疑う余地なき才能!』と、編集長は書きました。『だれにもありがちの不注意。この著者もまた不幸な詩句を書くことは、二十五ページに見いだされる。そこには二つの母音重複がある。古人についてさらに研究されんことを切望する、云々(うんぬん)』 わたしはそこを立ち去りました」と、月は言いました。 「それから、その叔母さんの家の窓をのぞいてみました。そこには評判のいいおとなしい詩人が、招待されたすべての客から賞讃されてすわっていました。この人は幸せでした。 わたしはもうひとりの詩人を、粗雑な詩人をさがしました。この人もまた、ひとりの後援者のところに集まった大勢の人々の中にいました。そこでは、もうひとりの詩人の本が話題にのぼっていました。 『わたしはあなたの本も読みましょう』と、後援者が言いました。『しかし正直に言うと、あなたも知っての通り、わたしは自分の思っていることをなんでも言ってしまう人間ですが、こんどの本に対してはそんなに期待していませんよ。あなたはあまりに粗雑すぎる! 空想的すぎる――といっても、あなたが人間としてきわめて尊敬すべき人であることは、わたしも認めています』 ひとりの若い娘が片隅にすわって、本を読んでいました。 ――天才のほまれはどろにまみるれど、 凡庸のわざは空高くかかげらる!―― 『こは古き語り草なれど、 なおつねに新たなり!』」 [#改ページ] 第十四夜 月が話しました。 「森の道にそって、二軒の農家があります。戸口は低く、窓は上と下とについています。あたりにはサンザシやヘビノボラズが生えています。屋根は苔(こけ)でおおわれていて、黄色い花やイワレンゲが咲いています。
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