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ぼくの“家庭生活についての随想録”にりっぱな批評を書いたのは、この男なんですよ。若い人に対しては寛大でいてやりたいものです』 『いや、あれはまったくの愚物ですよ』と、この部屋にいたもうひとりの紳士が言いました。『詩では凡庸ということぐらい悪いことはありませんよ。それにあの男ときたら、一歩も凡庸以上に出ていないんですからね』 『かわいそうなやつ!』と、第三の男が言いました。『しかもこの男の叔母さんは、この男のことを喜びとしているんです。その叔母さんていうのは、編集長さん、あなたのこのあいだの翻訳にあんなに大勢の予約者を集めてくれた人なんですよ――』 『ああ、あの親切な婦人ね! うん、ぼくはこの本をごく簡単に批評することにしたよ。疑う余地なき才能! 歓迎すべき天賦の素質! 詩の園に咲いた一輪の花! 装幀もいい、などとね。ところで、もう一つの本はどうだろう! あの著者は、ぼくにも買わせようという腹らしい。――評判がいいよ。あの男は天才をもっているんだね。きみたち、そう思わないかね?』 『ええ、みんなはそう言いたててますね』と、さっきの詩人が言いました。『だけど、すこし粗雑ですよ。コンマの打ち方なんか、あまりにも天才的すぎますね』 『あの男はこきおろしてやって、ちっとは腹をたてさせたほうがためになりますよ。さもなきゃ、のぼせあがってしまいますからね』 『しかし、それは不当です』と、第四の男が大声に言いました。『そんな小さい欠点ばかりをかぞえたてないで、いいものを喜びましょうよ。しかもここには、それがたくさんあるんです。まったく、あの男は衆をぬきんでていますよ』 『とんでもない! もしあの男がほんとうの天才だとすれば、そのくらいの鋭い非難にだって耐えることができるさ。あの男を個人的にほめる者はいくらでもある。
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