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娘は、その明りが、自分の眼に見えるかぎりのあいだ、もえつづけていれば、愛する人はまだ生きている、けれども、もしも消えてしまえば、もうこの世にはいないのだということを、知っていたのです。見れば、明りは、もえながらふるえました。娘の心も、もえあがって、ふるえました。娘は膝まずいて、祈りました。すぐそばの草の中に、ぬらぬらしたヘビがいました。けれども娘は、梵天王と自分の花婿のことしか考えていませんでした。 『あの人は生きている!』と、娘は喜びの声をあげました。すると、山々からこだまが返ってきました。 『あの人は生きている!』」 [#改ページ] 第二夜 「きのうのことですよ」と、月がわたしに話しました。 「わたしは、家にかこまれている、小さな中庭をのぞいていました。見ると、めんどりが一羽、十一羽のひなどりたちといっしょに寝ていました。ところが、そのまわりを、ひとりのきれいな女の子が、はねまわっているのです。めんどりはびっくりして、コッコッコと鳴きながら、羽をひろげて、小さなひなどりたちをかばいました。そこへ女の子の父親が出てきて、女の子をしかりつけました。わたしはそれきり、もうそのことは考えずに、先へすべっていきました。 ところが今夜、それもほんの二、三分前のことですが、わたしは、またおなじ中庭を見おろしていたのです。はじめのうちは、ひっそりとしていましたが、まもなく、あの小さな女の子が出てきて、そっと、とり小屋にしのびよりました。そして、かんぬきをはずして、めんどりとひなどりたちのいるところへ、しのびこみました。にわとりたちは大声でさけびながら、羽をばたばた打って、飛びまわりました。けれども、女の子は、そのあとを追いかけるのです。わたしは壁の穴からのぞいていたので、このありさまが、手に取るようにはっきりと見えました。わたしは、このいけない子に、すっかり腹をたててしまいました。
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