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枕上石亭画談を読む。 十二月十六日。 旅館に在り無聊甚し。 午後築地桜木に至り櫓下の妓八重福を招ぎ、置炬燵に午夢を貪る。 十二月十七日。 朝の中築地二丁目引越先の家に至り、立退明渡の談判をなす。 実は十五日中に引払ふべき筈なりしになか/\其の様子なき故、余自身にて談判に出かけしなり。 然るに其の家の女主人は曾て新橋玉川家の抱末若といひしものにて、予が顔を見知りゐたりしとおぼしく、話はおだやかにまとまり二十日には間違ひなく立退く事を約せり。 帰途桜木にて晩飯を食し、八重福満佐の二妓、いづれも梅吉の弟子なるを招ぎ、自働車にて浅草の年の市に行き、羽子板を買ふ。 十二月十八日。 春陽堂店員全集第一巻製本見本を旅亭へ送り来る。 久米秀治来訪。 晩間有楽座清元会に徃く。 家元明がらすを語る。 会散ずるに先立ち、花月主人及久米氏と清元梅之助を伴ひ溜池の長谷川に至り、また明烏を語る。 此夕月おぼろにかすみ暖気春の如し。 十二月十九日。 終日雨ふる。 寒気を桜木に銷す。 悪寒甚しく薬を服して、早く寝につく。 十二月二十日。 病よからず。 夜竹田屋の主人旅亭に来り、明後日旧宅の荷物を築地に移すべき手筈を定む。 二更の頃櫓下の妓病を問ひ来る。 十二月廿一日。 頭痛甚しけれど体温平生に復す。 正午櫓下の妓八重福明治屋の西洋菓子を携へ再び見舞に来る。 いさゝか無聊を慰め得たり。 夕方竹田屋主人旧宅荷づくりの帰途、旅宿に来る。 晩餐を共にす。
十二月廿二日。
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