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両三日中に買宅の主人引越し来る由なるに、わが方にては築地二丁目の新宅いまだ明渡しの運びに至らず。 いろ/\手ちがひのため一時身を置く処もなき始末となれり。 此夜桜木にて櫓下の妓両三名を招ぎ、梅吉納会の下ざらひをなす。 十二月十日。 久米君より桜木方へ電話かゝりて、明十一日梅吉納会に語るべき明烏さらひたしとの事なり。 夕暮花月に赴き、主人および久米、猿之助等と、赤阪長谷川に至り、猿之助の三味線にて放歌夜半に及ぶ。 帰途花月主人の周旋にて土橋の竹家といふ旅館に投宿す。 心いさゝかおちつきたり。 十二月十一日。 午前旧宅に至り、残りの荷ごしらへをなし、正午旅館竹家に帰る。 雪俄に降出し寒気甚し。 炬燵を取寄せ一睡す。 夕刻自働車を倩ひ日本橋倶楽部清元梅吉おさめの会に赴き、猿之助三味線にて明がらすを語る。 中村吉右衛門仝時蔵は梅吉三味線にて三千歳を語る。 雪夜半に至りて歇む。 十二月十二日。 八重次見舞にとて旅亭に来る。 午後十寸見歌舟に招がれ、日本橋加賀屋にて薗八を語る。 宮川曼魚も亦来る。 夜木挽町田川にて高橋箒庵の夕霧を聴く。 十二月十三日。 築地桜木に宿す。 深更石川島造舩所失火。 十二月十四日。 久振にて鎧橋病院に徃き、大石国手の診察を乞ふ。 宿疾大によしといふ。 帰途巴家に立寄り早く旅宿に帰り直に眠る。 十二月十五日。 新冨座桔梗会連中見物の約あり。 晩食の後茶屋猿屋に徃く。 小山内吉井長田の諸氏、玄文社※員結城某等に逢ふ。 結城氏諸子を新橋の某亭に誘ふ。 余寒夜を恐れ辞して去る。 枕上石亭画談を読む。
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