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…也 古道具 総計金弐万六千弐百六拾四円弐拾弐銭也 支出金高 一金弐千五百円也 築地引越先家屋買入 一金四百六拾円也 建物会社手数料 総計金弐千九百六拾円也 差引残金 金弐万参千参百〇四円弐拾弐銭也 十二月六日。 正午病を冒して三菱銀行に徃き、梅吉宅に立寄り、桜木にて午餉をなし、夕刻家に帰る。 十二月七日。 宮薗千春方にて鳥辺山のけいこをなし、新橋巴家に八重次を訪ふ。 其後風邪の由聞知りたれば見舞に行きしなり。 八重次とは去年の春頃より情交全く打絶え、その後は唯懇意にて心置きなき友達といふありさまになれり。 この方がお互にさつぱりとしていざござ起らず至極結搆なり。 日暮家に帰り孤燈の下に独粥啜らむとする時、俄に悪寒を覚え、早く寝に就く。 十二月八日 体温平熱なれど心地すぐれす、朝の中竹田屋来りて過日競売に出したる来青閣旧蔵の唐本中、落丁欠本のものあり、五拾円程総額の中より価引なされたしといふ。 唐本には徃々製本粗末にて落丁のもの有之由。 竹田屋この日種彦の春本水揚帳、馬琴の玉装伝、其他数種を示す。 夜浅野長祚の寒檠※綴(藝苑※[#「最」の「日」に代えて「林」、U+6A37、48-17]書本)をよむ。 十二月九日。 風邪全く痊えざれど、かくてあるべきにあらねば着換の衣服二三枚を、徃年欧米漫遊中購ひたる旅革包に収め、見返り/\旧廬を出で、築地桜木に赴きぬ。 両三日中に買宅の主人引越し来る由なるに、わが方にては築地二丁目の新宅いまだ明渡しの運びに至らず。
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