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昨日立秋となりしより満目の風物一として秋意を帯びざるはなし。 八重次病あり。 入院の由書信あり。 八月十二日。 女郎花ひらく。 執筆半日。 八月十三日。 春陽堂荷風全集第二巻に当てんがため、あめりか物語ふらんす物語二書の校訂を催促すること頻なり。 此日たま/\これ等の旧著を把つて閲読加朱せむとするに、当年の遊跡歴歴として眼前に浮び感慨禁ずべからず。 筆を擱いて嘆息す。 余にして若し病なからむか一日半刻も家に留ること能はざりしなるべし。 日本現代の世情は実に嫌悪すべきものなり。 八月十四日。 唖々子花月第五号編輯に来る。 用事を終りて後晩涼を追ひ、漫歩神楽阪に至る。 銀座辺米商打こはし騒動起りし由。 妓家酒亭灯を消し戸を閉したり。 八月十五日。 残暑甚し。 晩間驟雨来らむとして来らず。 夜に至り月明かに風涼し。 市中打壊しの暴動いよ/\盛なりと云ふ。 但し日中は静穏平常の如く、夜に入りてより蜂起するなり。 政府は此日より暴動に関する新聞の記事を禁止したりと云ふ。 八月十六日。 胃に軽痛を覚ゆ。 あめりか物語を校訂す。 晩間唖唖子来りて市中昨夜の状况を語る。 此日夜に至るも風なく炎蒸忍ぶ可からず。 唖※子と時事を談じ世間を痛罵し、夜分に至る。 涼味少しく樹※に生じ虫声漸く多し。 八月十七日。 紅蜀葵開く。 萩正に満開。 八月十九日。 秋暑を忍んで終日旧著を添刪す。 夜に至り明月清風を得たり。 八月廿二日。 曇りて涼し。 午前松莚子を訪ひ、三才社に立寄りて帰る。
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