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河骨を植えたる水瓶の中にて鳴くものの如し。 五月五日。 母上粽を携へて病を問はる。 昼過四時頃驟雨雷鳴。 夜に及んで益甚し。 電燈明滅二三回に及ぶ。 初更花月第一号新橋堂より到着す。 五月六日。 階前の来青花開く。 異香馥郁たり。 五月十日。 烟雨軽寒を催す。 服部歌舟子が関口の邸に招がる。 躑躅満開。 園林幽邃。 雨中一段の趣を添ふ。 山彦栄子三味線にて歌舟子河東※[#「くさかんむり/即」、U+83AD、28-14]邯鄲を語る。 歌舟子は日本橋堀留の紙問屋湊屋の主人なり。 是日柳橋の名妓数名酒間を斡旋す。 五月十一日。 終日門を出でず。 花月の原稾を整理す。 薄暮久米氏来りて新福亭経営甚困難なる由を告ぐ。 金百円貸す。 五月十二日。 午後新福亭にて唖※子と相会し花月第二号の編輯を終る。 五月十三日。 八ツ手の若芽舒ぶ。 秋海棠の芽出づ。 四月末種まきたる草花皆芽を発す。 無花果の実鳩の卵ほどの大さになれり。 枇杷も亦熟す。 菖蒲花開かむとし、錦木花をつく。 松の花風に従つて飛ぶこと烟の如し。 貝母枯れ、芍薬の蕾漸く綻びむとす。 虎耳草猶花なし。 五月十六日。 夜十時旧監獄署跡新開町より失火。 余烟断膓亭を蔽ふ。 五月十七日。 終日大雨。 風冷なり。 小品文夏ころもを草す。 枕上随園詩話を繙いて眠る。 五月廿二日。 花月第二号校正。 晩来雷雨あり。 五月廿五日。 毎日風冷にして雨ふる。
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