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余両三年来折々沢田東江の書帖を臨写すれど今に至つて甚悪筆なり。 三味線と書とはいつも思ふやうに行かず。 よく/\不器用の生れと見ゆ。 正月廿八日。 過日断膓亭襍稾を知友に贈呈す。 其返書追追到着す。 馬塲孤蝶氏懇切なる批評を寄せらる。 二月朔。 清元梅吉本日より稽古始める由言越したれば徃く。 清心上げざらひをなす。 二月二日。 立春の節近つきたる故にや日の光俄に明く暖気そぞろに探梅の興を思はしむ。 午後九段の公園を歩み神田三才社に至り新着の小説二三冊を購ひ帰る。 二月四日。 立春。 二月五日。 夜九穂子来訪。 二月六日。 終日雨。 本年になりて始めての雨なり。 二月七日。 植込にさし込む朝日の光俄にあかるく、あたり全く春めき来りぬ。 鵯の声に交りて雀の囀りもおのづから勇しくなれり。 二月八日。 早朝築地に行き権八鈴ヶ森の段稽古はじむ。 清元浄瑠璃の中にて此の鈴ヶ森刑塲の段、殊に二上りの出、余の最も好む所なり。 浦里三千歳なぞよりも遥によし。 午後歌舞伎座に立寄る。 延寿太夫父子吉野山出語あればなり。 二月九日。 家に在りて午後より腕くらべ続篇の稾を起す。 去冬思立ちし紅箋堂佳話二三枚は※[#「くさかんむり/聿」、U+831F、23-12]すゝまざれば裂棄てたり。 二月十二日。 腕くらべ製本二部を添へて出版届をなす。 久振りにて新福亭を訪ふに花月楼主人在り。 款晤日暮に至る。
二月十三日。
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