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『私よりお太陽さんの方が強いよ、あいつは私を融かしてしまふからね。』 『お太陽さんお太陽さん強い者は親切でなくつちやならないのにお前はいけないよ。 お前は氷をとかすなんて。 そして、お前と氷とでのあの可哀想な蟻の小さな足をくじいたんぢやないか。』 すると太陽が云ひました。 『雲は私よりももつと強いよ、私をかくしてしまふんだもの。』 『雲さん、雲さん、お前は悪い奴だ。 強いものは親切でなくてはならないのに、お太陽さんをかくしたりなんかして。 お前とお太陽さんが氷をとかして、お前と氷とで蟻の足をくじいたのだよ。 あの小さい可哀想な蟻の足をさ。』 すると雲が答へました。 『風は私達よりずつと強いよ。 私達を吹き飛ばしてしまふんだもの。』 『風さん、風さん、強い者は親切にするものだよ。 けれどもお前は悪いね。 雲を吹き飛ばしてさ。 お前と雲とはお太陽さんをかくしてしまふし、お前とお太陽さんとで氷をとかして、そして氷はまたお前達と一しよになつて蟻の足をくじくなんて。 ――あの可哀想な蟻の足をさ――』 すると、こんどは風が云ひました。 『私より壁の方が強いよ。 壁は私を通さないんだもの。』 『壁さん、壁さん、お前は本当に悪いね。 強い者は親切でなくつちやいけないのに、風を通さないなんて。 お前と風は雲を吹き飛ばしてしまふし、雲とお前はお太陽さんをかくすし、お太陽さんは氷をとかすんだもの。 あの可哀さうな小さな蟻の足をくぢいたのはお前と氷だよ。』 すると壁が、『私よりも鼠の方がずつと強いんだよ。 鼠は私達に穴をあけるんだもの。』 『鼠さん、鼠さん、強いものは――――』 『それぢや、いつまでたつたつておんなじ事ばかりぢやないの、お婆あさん。』 エミルが怺(こら)へきれないで叫びました。 『さうぢやありませんよ、エミルさん、鼠の次ぎには鼠を食べる猫が来ます。
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