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だから、私はそのことをそんなに悲しみはしなかった。 もしも汽車の中の私がいかにも悲しそうな様子に見えたと云うなら、それは私が自分の宿題の最後の方がすこし不出来なことを考えているせいだったのだ。 私はふと、この次ぎの駅に着いたら、サンドウィッチでも買おうかと、お前の母がお前の兄たちに相談しているのを聞いた。 私はかなり神経質になっていた。 そして自分だけがそれからのけ者にされはしないかと心配した。 その次ぎの駅に着くと、私は真先きにプラットフォムに飛び下りて、一人でサンドウィッチを沢山買って来た。 そして私はそれをお前たちに分けてやった。 ※ 秋の学期が始まった。 お前の兄たちは地方の学校へ帰って行った。 私は再び寄宿舎にはいった。 私は日曜日ごとに自分の家に帰った。 そして私の母に会った。 この頃から私と母との関係は、いくらかずつ悲劇的な性質を帯びだした。 愛し合っているものが始終均衡を得ていようがためには、両方が一緒になって成長して行くことが必要だ。 が、それは母と子のような場合には難しいのだ。 寄宿舎では、私は母のことなどは殆(ほと)んど考えなかった。 私は母がいつまでも前のままの母であることを信じていられたから。 しかし、その間、母の方では、私のことで始終不安になっていた。
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