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そうしてそれが、砂の中から浮んでいる私の顔を、とても変梃にさせていそうだった。 私はいっそのこと、そんな顔も砂の中に埋めてしまいたかった! 何故なら、私は田舎から、私の母へ宛てて、わざと悲しそうな手紙ばかり送っていた。 その方が彼女には気に入るだろうと思って……。 彼女から遠くに離れているばかりに、私がそんなにも悲しそうにしているのを見て、私の母は感動して、私を連れ戻しに来たのかしら?……それだのに、私は、彼女に隠し立てをしていた一人の少女のために、今、こんなにも幸福の中に生埋めにされている! おっと、待てよ。 今のさっきの様子では、お前は私の母をなんだか知っていたようだぞ! そんな筈(はず)じゃなかったのに?……と、私は砂の中からこっそりとみんなの様子をうかがっている。 どうやら、私の母とお前たちの家族とは、ずっと前からの知合らしい。 私にはどうしてもそれが分らない。 これでは、欺こうとしていた私の方が、反対に、私の母に裏を掻(か)かれていたようなものだ。 突然、私は砂を払いのけながら、起き上る。 今度はこっちで、あべこべに、母の隠し立てを見つけてやるからいい!……そこで、私はお前にそっと捜りを入れてみる。 皆のしんがりになって、家の方へ引きあげて行きながら。 …… 「どうして僕のお母さんを知っていたの?」
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