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ゴットフリートの言葉が胸の奥に刻みこまれていた。
彼は嘘(うそ)をついたのがはずかしかった。
それで、彼はしつっこく怨んではいたものの、作曲をする時には、今ではいつもゴットフリートのことを考えていた。
そしてしばしば、ゴットフリートがどう思うだろうかと考えると、はずかしくなって、書いたものを破いてしまうこともあった。
そういう気持をおしきって、全く誠実でないとわかっている曲を書くような時には、気をつけてかくしておいた。
どう思われるだろうかとびくびくしていた。
そしてゴットフリートが、「そんなにまずくはない……気にいった……」とただそれだけでもいってくれると、嬉(うれ)しくてたまらなかった。
また、時には意趣がえしに、偉い音楽家の曲を自分のだと嘘(うそ)をいって、たちのわるい悪戯をすることもあった。
そして小父がたまたまそれをけなしたりすると、彼はこおどりして喜んだ。
しかし小父はまごつかなかった。
クリストフが手をたたいて、喜んでまわりをはねまわるのを見ながら、人がよさそうに笑っていた。
そしていつもの意見をもち出した。
「うまくは書いてあるかも知れないが、何の意味もない。」
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