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どうして歌をつくるのさ。歌はつくるものじゃないよ。」
子供はいつもの論法でいいはった。
「でも、小父さん、一度は誰かがつくったにちがいないよ。」
ゴットフリートは頑として頭を振った。
「いつでもあったんだ。」
子供はいい進んだ。
「だって、小父さん、ほかの歌を、新しい歌を、つくることは出来るんじゃないか。」
「なぜつくるんだ。もうどんなのでもあるんだ。悲しい時のもあれば、嬉(うれ)しい時のもある。疲れた時のもあれば、遠い家のことを思う時のもある。自分がいやしい罪人だったからといって、まるで虫けらみたいなものだったからといって、自分の身がつくづくいやになった時のもある。ほかの人が親切にしてくれなかったからといって、泣きたくなった時のもある。天気がよくて、いつも親切に笑いかけて下さる神様のような大空が見えるからといって、楽しくなった時のもある。……どんなのでも、どんなのでもあるんだよ。何でほかのをつくる必要があるものか。」
「偉い人になるためにさ……」と子供はいった。
彼の頭は、祖父の教と子供らしい夢とで一ぱいになっていた。
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