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「考えてごらん。」
クリストフは頭をふった。
「わからないよ。」
ほんとうをいえば、思いあたることがあるのだった。
どうもこの節は……という気がした。
だがそうだとは、いいきれなかった……いいたくなかった。
「お祖父さん、わからないよ。」
彼は顔を赤らめた。
「ばかな子だね。自分のだということがわからないのかい。」
たしかにそうだとは思っていた。
けれどはっきりそうだと聞くと、はっとした。
「ああ、お祖父さん。」
老人は顔を輝かしながら、クリストフにその楽譜を説明してやった。
「これは詠唱曲だ。火曜日にお前が床にねころんでうたっていたあれだ。それから、行進曲。先週だったね、もう一度やってごらんといっても、思いだせなかったろう、あれだ。それから三拍子曲。肱掛椅子の前で踊っていた時の歌だ。……みてごらん。」
表紙には、見事な花文字で、こう書いてあった。
少年時代の快楽――詠唱曲、三拍子曲、円舞曲、行進曲。
ジャン・クリストフ・クラフト作品※。
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