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「私の家にゃそれを持って遊ぶような子供はいないし、それにいいもんだと思ってもう三枚もしまってありますからな。」
と言ってことわりました。
かれは今度は百姓家へ行って、パンと取っかえようとしました。
けれどもやはり受取ろうとはしません。
「そりゃいらない。だが、お前さんが『キリスト様の御名によって』とおっしゃるなら、ちょっと待ちなされ、家内に話して一片貰って上げましょうから。」
と言いました。
(『キリスト様の御名によって』という言葉は露西亜の乞食や巡礼たちが、物を下さいと言う前に必ず言う言葉で、「御生ですから」とか、「どうかお願いですから」といった意味の言葉です。)
それを聞くと悪魔は唾を吐いて逃げ出しました。
キリストの名を唱えたり聞いたりすることは、小刀で突き倒されるよりも痛くこたえるからでした。
こうしてとうとうパンも手に入れることが出来ませんでした。
誰もかも金貨を持っていたので、年よった悪魔はどこへ行っても、金で何一つ買うことは出来ませんでした。
みんなたれもが、
「何か他の品物を持って来るか、でなけりゃここへ来て働くか、またはキリスト様の御名によっているものを貰うがいい。」
と言います。
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