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あなたが命令を下しさえすればどんなことでもします。」
「じゃ唄がうたえるかい。」
「ええ出来ますとも、あなたが命令なさりさえすれば。」[#「。」」は底本では欠落]
「よしよし、じゃ一つこしらえてくれ。」
すると小悪魔は、
「じゃ、その麦束を一束取って地べたにつきたてて、こうおっしゃればいいのです。
[#「いいのです。」は底本では「いいのです。」」]
麦束よ麦束よ
おれの家来に命いつける
一本一本の麦藁から
兵隊が一人ずつ飛び出して来い。」
イワンは麦束を取り上げて地べたへ叩きつけると、小悪魔の言った通りやりました。
麦束がバラバラに解けて落ちたかと思うと、藁がのこらず兵隊になって、ラッパ吹きや、太鼓打ちまでそろっていました。
こうして一隊すっかり出来上りました。
イワンは面白がって笑いながら、
「こりゃ面白い。立派だ。娘っ子がさぞ喜ぶこったろう。」
と言いました。
「じゃ私をはなして下さい。」
と小悪魔は言いました。
「そりゃいけない。」
とイワンは言いました。
「おれは兵隊を打殻の藁でこさえるのでなくちゃいやだ。でないと折角のいい麦がだめになってしまう。
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