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二
ところが、それを年よった悪魔が見ていました。
悪魔は、兄弟たちが財産の分け方でけんかをするだろうと思っていたのに、べつにいさかいもなく、仲良く別れて行ったので大へん腹を立てて、早速三人の小悪魔を呼び集めました。
そして言いました。
「ここに兵隊のシモン、肥満のタラス、馬鹿のイワンと言う三人の兄弟がいる。こいつらは当然けんかをしなくてはならないのに仲良く暮し合っている。あの馬鹿のイワンの奴がすっかりおれの仕事をだいなしにしてしまったのだ。ところでお前たち三人は兄弟三人に取ついて奴等がお互いに目玉を引っこぬくようにしてやるのだ。どうだ、出来るかな。」
「はい、一つやってみましょう。」
と三人の小悪魔は言いました。
「じゃ、どんな風にはじめる。」
「わけはありません。」
と小悪魔は言いました。
「まず第一にあいつ等を一文無しにしてしまいます。そして一片のパンも無くなった時分にみんなをおち合わせることにします。そうすりゃけんかするにきまっています。」
「なるほど、そいつはいい思いつきだ。お前たちもだいぶ仕事がうまくなったようだ。じゃ、行って来い。そしてあいつ等を仲たがいさせるまでは決して帰って来るな。
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