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脣(くちびる)の色少しく褪(あ)せたるに、玉のごとき前歯かすかに見え、眼は固く閉ざしたるが、眉は思いなしか顰(ひそ)みて見られつ。
わずかに束ねたる頭髪は、ふさふさと枕に乱れて、台の上にこぼれたり。
そのかよわげに、かつ気高く、清く、貴く、うるわしき病者の俤(おもかげ)を一目見るより、予は慄然として寒さを感じぬ。
医学士はと、ふと見れば、渠は露ほどの感情をも動かしおらざるもののごとく、虚心に平然たる状露われて、椅子に坐(すわ)りたるは室内にただ渠のみなり。
そのいたく落ち着きたる、これを頼もしと謂(い)わば謂え、伯爵夫人の爾(しか)き容体を見たる予が眼よりはむしろ心憎きばかりなりしなり。
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