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その厭でたまらない生きものがいなくなったために私の胸に生じた、深い、この上なく幸福な、安堵の感じは、記述することも、想像することもできないくらいである。
猫はその夜じゅう姿をあらわさなかった。
――で、そのために、あの猫を家へ連れてきて以来、少なくとも一晩だけは、私はぐっすりと安らかに眠った。
そうだ、魂に人殺しの重荷を負いながらも眠ったのだ!
二日目も過ぎ三日目も過ぎたが、それでもまだ私の呵責者は出てこなかった。
もう一度私は自由な人間として呼吸した。
あの怪物は永久にこの屋内から逃げ去ってしまったのだ! 私はもうあいつを見ることはないのだ! 私の幸福はこの上もなかった! 自分の凶行の罪はほとんど私を不安にさせなかった。
二、三の訊問は受けたが、それには造作なく答えた。
家宅捜索さえ一度行われた、――が無論なにも発見されるはずがなかった。
私は自分の未来の幸運を確実だと思った。
殺人をしてから四日目に、まったく思いがけなく、一隊の警官が家へやって来て、ふたたび屋内を厳重に調べにかかった。
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