(367字。目安の読了時間:1分)
壁には手を加えたような様子が少しも見えなかった。
床の上の屑はごく注意して拾い上げた。
私は得意になってあたりを見まわして、こう独言を言った。
――「さあ、これで少なくとも今度だけは己の骨折りも無駄じゃなかったぞ」
次に私のやることは、かくまでの不幸の原因であったあの獣を捜すことであった。
とうとう私はそれを殺してやろうと堅く決心していたからである。
そのときそいつに出会うことができたなら、そいつの命はないに決っていた。
が、そのずるい動物は私のさっきの怒りのはげしさにびっくりしたらしく、私がいまの気分でいるところへは姿を見せるのを控えているようであった。
その厭でたまらない生きものがいなくなったために私の胸に生じた、深い、この上なく幸福な、安堵の感じは、記述することも、想像することもできないくらいである。
\=========================
ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう!
http://bit.ly/2OoYjwI
■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv
■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.com
■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/000094/files/530_20932.html
■運営へのご支援はこちら: https://www.buymeacoffee.com/bungomail
■メール配信の停止はこちら: https://goo.gl/forms/kVz3fE9HdDq5iuA03
-------
配信元: ブンゴウメール編集部
NOT SO BAD, LLC.
Web: https://bungomail.com
Mail: [email protected]
配信停止:https://goo.gl/forms/kVz3fE9HdDq5iuA03