(426字。目安の読了時間:1分)
私が腰かけているときにはいつでも、椅子の下にうずくまったり、あるいは膝の上へ上がって、しきりにどこへでもいまいましくじゃれついたりした。
立ち上がって歩こうとすると、両足のあいだへ入って、私を倒しそうにしたり、あるいはその長い鋭い爪を私の着物にひっかけて、胸のところまでよじ登ったりする。
そんなときには、殴り殺してしまいたかったけれども、そうすることを差し控えたのは、いくらか自分の以前の罪悪を思い出すためであったが、主としては――あっさり白状してしまえば――その動物がほんとうに怖かったためであった。
この怖さは肉体的災害の怖さとは少し違っていた、――が、それでもそのほかにそれをなんと説明してよいか私にはわからない。
私は告白するのが恥ずかしいくらいだが――そうだ、この重罪人の監房のなかにあってさえも、告白するのが恥ずかしいくらいだが――その動物が私の心に起させた恐怖の念は、実にくだらない一つの妄想のために強められていたのであった。
\=========================
ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう!
http://bit.ly/2OoYjwI
■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv
■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.com
■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/000094/files/530_20932.html
■運営へのご支援はこちら: https://www.buymeacoffee.com/bungomail
■メール配信の停止はこちら: https://goo.gl/forms/kVz3fE9HdDq5iuA03
-------
配信元: ブンゴウメール編集部
NOT SO BAD, LLC.
Web: https://bungomail.com
Mail: [email protected]
配信停止:https://goo.gl/forms/kVz3fE9HdDq5iuA03