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2019-12-08

黒猫(8/30)

(449字。目安の読了時間:1分)

眼のなくなった眼窩はいかにも恐ろしい様子をしてはいたが、もう痛みは少しもないようだった。
彼はもとどおりに家のなかを歩きまわっていたけれども、当りまえのことであろうが私が近づくとひどく恐ろしがって逃げて行くのだった。
私は、前にあんなに自分を慕っていた動物がこんなに明らかに自分を嫌うようになったことを、初めは悲しく思うくらいに、昔の心が残っていた。
しかしこの感情もやがて癇癪に変っていった。
それから、まるで私を最後の取りかえしのつかない破滅に陥らせるためのように、天邪鬼の心持がやってきた。
この心持を哲学は少しも認めてはいない。
けれども、私は、自分の魂が生きているということと同じくらいに、天邪鬼が人間の心の原始的な衝動の一つ――人の性格に命令する、分つことのできない本源的な性能もしくは感情の一つ――であるということを確信している。
してはいけないという、ただそれだけの理由で、自分が邪悪な、あるいは愚かな行為をしていることに、人はどんなにかしばしば気づいたことであろう。

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