ブンゴウメール
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村会がすんで、いよいよ岩滑新田の村にも電燈をひくことにきまったと聞かされたときにも、巳之助は脳天に一撃をくらったような気がした。
こうたびたび一撃をくらってはたまらない、頭がどうかなってしまう、と思った。
その通りであった。
頭がどうかなってしまった。
村会のあとで三日間、巳之助は昼間もふとんをひっかぶって寝ていた。
その間に頭の調子が狂ってしまったのだ。
巳之助は誰かを怨みたくてたまらなかった。
そこで村会で議長の役をした区長さんを怨むことにした。
そして区長さんを怨まねばならぬわけをいろいろ考えた。
へいぜいは頭のよい人でも、しょうばいを失うかどうかというようなせとぎわでは、正しい判断をうしなうものである。
とんでもない怨みを抱くようになるものである。
菜の花ばたの、あたたかい月夜であった。
どこかの村で春祭の支度に打つ太鼓がとほとほと聞えて来た。
巳之助は道を通ってゆかなかった。
みぞの中を鼬のように身をかがめて走ったり、藪の中を捨犬のようにかきわけたりしていった。
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