ブンゴウメール公式ブログ

青空文庫の作品を1ヶ月で読めるように毎日小分けでメール配信してくれるサービス「ブンゴウメール」の公式ブログです。

2019-09-04

老妓抄(4/30) - ブンゴウメール

ブンゴウメール

(605字。目安の読了時間:2分)

おまえさんたち」と小そのは総てを語ったのちにいう、「何人男を代えてもつづまるところ、たった一人の男を求めているに過ぎないのだね。いまこうやって思い出して見て、この男、あの男と部分々々に牽かれるものの残っているところは、その求めている男の一部一部の切れはしなのだよ。だから、どれもこれも一人では永くは続かなかったのさ」

「そして、その求めている男というのは」と若い芸妓たちは訊き返すと

「それがはっきり判れば、苦労なんかしやしないやね」それは初恋の男のようでもあり、また、この先、見つかって来る男かも知れないのだと、彼女は日常生活の場合の憂鬱な美しさを生地で出して云った。

「そこへ行くと、堅気さんの女は羨しいねえ。親がきめてくれる、生涯ひとりの男を持って、何も迷わずに子供を儲けて、その子供の世話になって死んで行く」

 ここまで聴くと、若い芸妓たちは、姐さんの話もいいがあとが人をくさらしていけないと評するのであった。

 小そのが永年の辛苦で一通りの財産も出来、座敷の勤めも自由な選択が許されるようになった十年ほど前から、何となく健康で常識的な生活を望むようになった。

芸者屋をしている表店と彼女の住っている裏の蔵附の座敷とは隔離してしまって、しもたや風の出入口を別に露地から表通りへつけるように造作したのも、その現われの一つであるし、遠縁の子供を貰って、養女にして女学校へ通わせたのもその現われの一つである。

\=========================

ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう! 

http://bit.ly/2ZpucMy

■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv

■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.com

■次に読みたい作品を教えてください!:http://blog.notsobad.jp/entry/2018/05/03/145404

■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/000076/files/447_19592.html

■運営へのご支援はこちら: https://www.buymeacoffee.com/bungomail

メール配信の停止はこちら:https://goo.gl/forms/kVz3fE9HdDq5iuA03

-------

配信元: ブンゴウメール編集部

NOT SO BAD, LLC.

Web: https://bungomail.com

Mail: [email protected]

公式サイト

ブンゴウメール

ブンゴウメール

1日3分のメールでムリせず毎月1冊本が読める、忙しいあなたのための読書サポートサービス

ブンゴウサーチ

ブンゴウサーチ

ブンゴウサーチは、青空文庫の作品を目安の読了時間で検索できるサービスです。