ブンゴウメール
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あたまのとがつたものが……。」がやがやがやがや。
山ねこが叫びました。
「やかましい。こゝをなんとこゝろえる。しづまれ、しづまれ。」
別当が、むちをひゆうぱちつと鳴らし、どんぐりはみんなしづまりました。
山猫が一郎にそつと申しました。
「このとほりです。どうしたらいゝでせう。」
一郎はわらつてこたへました。
「そんなら、かう言ひわたしたらいゝでせう。このなかでいちばんばかで、めちやくちやで、まるでなつてゐないやうなのが、いちばんえらいとね。ぼくお説教できいたんです。」
山猫はなるほどといふふうにうなづいて、それからいかにも気取つて、繻子のきものの胸を開いて、黄いろの陣羽織をちよつと出してどんぐりどもに申しわたしました。
「よろしい。しづかにしろ。申しわたしだ。このなかで、いちばんえらくなくて、ばかで、めちやくちやで、てんでなつてゐなくて、あたまのつぶれたやうなやつが、いちばんえらいのだ。」
どんぐりは、しいんとしてしまひました。
それはそれはしいんとして、堅まつてしまひました。
そこで山猫は、黒い繻子の服をぬいで、額の汗をぬぐひながら、一郎の手をとりました。
別当も大よろこびで、五六ぺん、鞭をひゆうぱちつ、ひゆうぱちつ、ひゆうひゆうぱちつと鳴らしました。
やまねこが言ひました。
「どうもありがたうございました。これほどのひどい裁判を、まるで一分半でかたづけてくださいました。
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