ブンゴウメール
(505字。目安の読了時間:2分)
お母さんは一度心臓病で死にかけたんだけれど、人工心臓をつけていただいてこのとおり丈夫になったんですよ」
「人工心臓ですって」
「見えるでしょう。お母さんは背中に背嚢のようなものを背おっているでしょう。それが人工心臓なのよ」
正吉は見た。
なるほど母親は、背中に妙な四角い箱を背おっている。
それが人工心臓なのか。
正吉は目をぱちくり。
口ひげのある弟
人工心臓は、ほんとの心臓と違って、人間のつくった機械だから、ずっと大きい。
だから胸の中にはいらず背中にそれをくくりつけてある。
胸の中から二本の管が出て、この人工心臓につながっている。
一方は赤くぬってあり、もう一つは青くぬってある。
赤い方は、きれいな血がとおる動脈、青い方は静脈だ。
そして人工心臓は、その血を体内に送ったり吸いこんだりするポンプなのである。
昔あったジェラルミンよりもっと軽い金属材料と、すぐれた有機質の人造肉とでこしらえてあるのだと、専門のサクラ女史が説明してくれた。
「こんなものをぶら下げていると、かっこうが悪くてね。正吉や、お前が見ても、へんでしょう」
と、母親は笑った。
なつかしい母親の笑顔だった。
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