ブンゴウメール
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これは、中からは外が見えないが、反対に外から中はよく見えるものだった。
こんなついたてを用いたわけは、金属球の中から出て来るはずの小杉正吉少年を、あまりたくさんの見物人のためにびっくりさせないための心づかいだった。
カンノ博士とあと五人の人だけがついたての中に入った。
そして金属球の扉Aの中にあった注意書のとおり、その底をやぶって電気のプラグを出し、それに指定どおりの交流電気を送りこんだ。
それはちょうど午前十時だった。
その翌々日の午前十時に、みんなが手にあせにぎっているうちに、その球は花がひらくように、しずかに四つにわれた。
そして中からかわいい少年があらわれた。
小杉正吉君だった。
七百名の見学者は、思わず手をたたいてしまった。
三十年前に冷凍された少年が、今りっぱに生きかえって、あらわれたからだ。
この少年は三十年間、氷のようになっていて、年をとることをしなかったのだ。
「待っていましたよ、小杉君。われわれは君を歓迎します」
と、カンノ博士がいった。
「わたしたちがお世話しますから、安心していらっしゃいね」
スミレ女史がいった。
かわりはてた銀座
「二十年たったら、世の中がどんなに変っているか、それを見たかったから、こんな冒険をしたんです」
と、小杉少年は、まわりの人たちに話した。
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