ブンゴウメール
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姫君の首は死のうとしますが大納言のささやきに負けて尼寺を逃げて山科の里へかくれて大納言の首のかこい者となって髪の毛を生やします。
姫君の首も大納言の首ももはや毛がぬけ肉がくさりウジ虫がわき骨がのぞけていました。
二人の首は酒もりをして恋にたわぶれ、歯の骨と歯の骨と噛み合ってカチカチ鳴り、くさった肉がペチャペチャくっつき合い鼻もつぶれ目の玉もくりぬけていました。
ペチャペチャとくッつき二人の顔の形がくずれるたびに女は大喜びで、けたたましく笑いさざめきました。
「ほれ、ホッペタを食べてやりなさい。ああおいしい。姫君の喉もたべてやりましょう。ハイ、目の玉もかじりましょう。すすってやりましょうね。ハイ、ペロペロ。アラ、おいしいね。もう、たまらないのよ、ねえ、ほら、ウンとかじりついてやれ」
女はカラカラ笑います。
綺麗な澄んだ笑い声です。
薄い陶器が鳴るような爽やかな声でした。
坊主の首もありました。
坊主の首は女に憎がられていました。
いつも悪い役をふられ、憎まれて、嬲り殺しにされたり、役人に処刑されたりしました。
坊主の首は首になって後に却って毛が生え、やがてその毛もぬけてくさりはて、白骨になりました。
白骨になると、女は別の坊主の首を持ってくるように命じました。
新しい坊主の首はまだうら若い水々しい稚子の美しさが残っていました。
女はよろこんで机にのせ酒をふくませ頬ずりして舐めたりくすぐったりしましたが、じきあきました。
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