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いま戦争は、ずっと遠くでしているので、たとえ耳を澄ましても、空をながめても、鉄砲の音も聞こえなければ、黒い煙の影すら見られなかったのであります。
老人はその日から、青年の身の上を案じていました。
日はこうしてたちました。
ある日のこと、そこを旅人が通りました。
老人は戦争について、どうなったかとたずねました。
すると、旅人は、小さな国が負けて、その国の兵士はみなごろしになって、戦争は終わったということを告げました。
老人は、そんなら青年も死んだのではないかと思いました。
そんなことを気にかけながら石碑の礎に腰をかけて、うつむいていますと、いつか知らず、うとうとと居眠りをしました。
かなたから、おおぜいの人のくるけはいがしました。
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