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2018-11-03

【ブンゴウメール】文字禍 (3/15)

(532字。目安の読了時間:2分) 老博士の卓子(テーブル)(その脚には、本物の獅子の足が、爪さえそのままに使われている)の上には、毎日、累々たる瓦の山がうずたかく積まれた。 それら重量ある古知識の中から、彼は、文字の霊についての説を見出そうとしたが、無駄であった。 文字はボルシッパなるナブウの神の司りたもう所とより外には何事も記されていないのである。 文字に霊ありや無しやを、彼は自力で解決せねばならぬ。 博士は書物を離れ、ただ一つの文字を前に、終日それと睨(にら)めっこをして過した。 卜者は羊の肝臓を凝視することによってすべての事象を直観する。 彼もこれに倣って凝視と静観とによって真実を見出そうとしたのである。 その中に、おかしな事が起った。 一つの文字を長く見詰めている中に、いつしかその文字が解体して、意味の無い一つ一つの線の交錯としか見えなくなって来る。 単なる線の集りが、なぜ、そういう音とそういう意味とを有つことが出来るのか、どうしても解らなくなって来る。 老儒ナブ・アヘ・エリバは、生れて初めてこの不思議な事実を発見して、驚いた。 今まで七十年の間当然と思って看過していたことが、決して当然でも必然でもない。 彼は眼から鱗(こけら)の落ちた思がした。 ============================================== ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう! http://bit.ly/2Ss8sbS ■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv ■ブンゴウメール公式サイト:https://ift.tt/2rbGjJX ■次に読みたい作品を教えてください!:https://ift.tt/2JPPM0l ■青空文庫でこの作品を読む:https://ift.tt/2qljumn ■運営へのご支援はこちら: https://ift.tt/2vkZ9jf ============================================== Unsubscribe [email protected] from this list: https://ift.tt/2PExUfw

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